時間の流れ

  5月の連休を利用して,アメリカアラバマ州で働いている息子に会いにアラバマ州ハンツビル市に行ってきた.意外に知られていないが,このハンツビルにはNASAがありロケットの町で有名である.アラバマ大学ハンツビル校は,ロケット工学では全米でも1・2を誇る大学である.スペースシャトルに初めて乗った日本人の毛利さんもこの大学で教えていたことがある.息子の会社のある隣町ディケイターは,トヨタやダイキンや東レをはじめとする日本を代表する企業が工場を持っている.理由は,ボーイング社のロケット部門や軍需部門がここにあるからだろう.ここアラバマの北部は我々が歴史で習った人種差別と貧困の南部のアラバマとは異なった最先端企業がどんどん進出してきている.
  

5月というのにアラバマは35℃を超える暑さの日がある.空は抜けるような青さだ.この空の青さはなぜか日本では感じられない.そして空が広い.どこへ行くのかはわからないが,旅客機が時々空を飛んでいく.それが空を横切るのに随分と時間がかかる.空が広いのだと思う.
 飛行機といえば,太平洋を横断してアメリカに来るときに日付変更線を通過して一日マイナスにする.帰りはその逆だ.この時間に対する感覚は,我々,言語を研究する者達の間では時々面白い事を言い出す者がいる.たとえば,

  1.後日連絡いたします.
  2.この洗濯物は明後日に仕上がります.

という表現がある.「後日」や「明後日」は「後」なのに「未来」を表現している.英語でも「明後日」は「the day after tomorrow」で「after」が使われている.あまり不思議に思わない人もいるだろうが,我々には興味深い.次の例を比べるとその興味深さが分かるかもしれない.

  3.今後とも頑張っていく所存です.
  4.これから先も頑張っていく所存です.

「今後とも」も「これから先」も未来の表現である.つまり,「後」も「先」も未来の表現なのである.これは,我々には,時間のとらえ方が2種類あるからである.「明後日」や「今後とも」は,自分を固定して時間が後から後から自分を追い抜いていく考え方である.これに対して,「これから先」は,時間を固定して自分が「未来にある」「これから先」に出向いていく考え方である.前者が,未来は後ろにあるし,後者は,未来は前にあるのである.
 さて,我々は「過去―現在―未来」という時間の流れを水平的に横に流れていると捉えているだろうか縦にながれていると捉えているだろうか.
「先週―今週―来週」
というのは感覚的には水平に流れているのではないだろうか?ところが時間が上から下に流れる場合もある.
  「上旬―中旬―下旬」
は時間が上から下に流れている.「以上,申し上げたことは」とか「以下に申し上げることは」はなども時間が上から下に流れている.

 


2010/05/31

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