間違いだらけの○○○外国語活動 その3


3.学習者を社会の中心に据えてみる

 言葉を教えるには順序があります.赤子がお座りもできないうちに,立ち上がらせたり歩かせたりする練習をさせる親はいません.いたとしたら,明らかに虐待です.仮に,赤子がお座りもできないうちに,歩かせたら一体どうなるでしょう.どんなことにも順序があります.だから,英語を学ぶのだって順序があるのです.それでは、何を一番はじめに学ぶべきでしょうか.それは,自分のことを相手に伝えたり,自分の興味関心のあることを相手に聞いたりする作業です.したがって,学習教材の並べ方は、学習者、すなわち「私」を最も中心に据えて、そこから家族→学校→コミュニティ→...へと学習者の世界を広げて行くのが自然です.従って,ここでは,「私=I」で始まる表現が最も基礎的な表現と言うことになります.基礎的な表現の枠組みは次の3点に集約できると思います.

(1)「私=I」で始まる表現が最も基礎的な表現.(例)基本的な行動と欲求など.
(2)「私=I」が生活するために必要な表現.(例)各種疑問の発し方,数の聞き方(年齢,時計の読み方,色,など.)
(3)説明(学習者の年齢に応じた表現範囲)

3−1.「私=I」で始まる表現が最も基礎的な表現.

 例えば,「これからすること」「これからしたいこと」「これからしなければならないこと」など基本的な行動がこれにあたります.これを表現するのにぴったりな教材が根市という先生が45年以上前に作った教材集の中にありますので,それを利用することにしましょう.根市先生に個人的に授業を受けた私のノートには1965年と記録してあります.その時に、私が教員になったら教えていいと言われながら大学の講義で使うのがせきのやまでした。時代を超えて十分に通用するものです.根市先生は,これを「自分の意思を表す表現」とよんでいます.

これは「自分の意思を表す表現」をグループ化したものです.それぞれに動詞がつく形になるので,根市(1965)はこれを次のようにモデル化しています.

前の楕円形には「自分の意思を表す表現」が入り,それに続く四角には動詞が入ります.私たちの頭の中には「自分の意思を表す表現」はモデルのように概念化して頭の中に入ることになります.これを,概念化していくためには,何度も唱える「概念化アプローチ」の作業が必要になります.これは決して暗記やパターンプラックティスとは根本的な発想が違います.とは言いながら、少し詳しい説明が必要ですね。

 上の「自分の意思を表す表現」は、同じ種類のグループだと考えてください。I am going toは「(し)ます」という時に使われますし、I want toは「〜(し)たい」という時に使われる自分の意思を表す種類のグループです。ここで、少し前の話に戻ると、私たちは、初めは基礎中の基礎なのですから、I am going toやI want toは勉強しても、He is going toやHe wants toの勉強はしません。それは、「I」で始まっていないからです。他人の事など説明している余裕はまだないからです。

 次に、どうしてI am going toやI want toのように、不完全な文で止めてあるかということをお話しします。それは、I am going toという単位が一番いろいろな文を作ることができるからなんです。たとえば、I am going to buy a new pair of shoes.というと、使うことの範囲は非常に限られてきます。ところが、I am going to buyできってやると、買うもの全てを表現することができます。さらに、I am going toできってやると、これから自分がすることすべてをいうことができるようになります。このことを根市先生はモデル化して
と表現したのです。この場合、前の楕円形には「I am going to」が入り,それに続く四角には動詞が入ります.
 この「自分の意思を表す表現」類をグループ化したものが、上に紹介した
なのです。このグループをただひたすら唱える作業が入ります。それは、第一に、一度でも多くこの表現が脳の神経回路を通るということです。暗記する必要はありません。第二に、これが同じグループだという認識が学習者に定着することです。紙の上での紹介では、ちょっと、無理でしたでしょうか?教材は、まだまだ、たくさんありますが、今回は、この辺で。



  


 


2011/8/15

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