「第3回教育に関する環太平洋国際会議」を終えて
 本年7月7日・8日と「第3回教育に関する環太平洋国際会議」が北海道教育大学を会場にして開催された.
 本会議はイリノイ州立大学と北海道教育大学が幹事校になり、教育に関して、各国が共有できる研究課題を発表しあったり、研究成果を発表しあったりするために開かれるものである。今回のテーマから抜粋して次に掲載する.
 第3回のテーマの一つは『「今一度教師に光をあててみよう』」である。かつて、ポストモダニズムに影響を受けた米国の教育界は、1980年代半ばに、教育に関する研究の焦点を大きく転換した。すなわち、米国では、カリキュラム研究から教師研究へと大きく転換することになったのである。それから四半世紀がすぎて、我々には、教師教育Teacher EducationやFDFaculty Developmentという概念が定着してきた。それにもかかわらず、我々は、教育を議論するとき、その焦点を、カリキュラムの組み方や子供どもたちに当てる傾向がある。すべての議論が教師の存在なしでは語ることができないことを忘れている。私達は、教育を論じるとき、本当に教師に焦点を当ててきたのだろうか。
 教育の場には常に教師の存在が必要である。教師にはいろいろな役割が与えられている。教材を研究する役割、教室の中でstudents-orientedを実現させるためのfacilitatorとしての役割、生徒指導をする役割、自分の学級を経営する役割、等々である。それゆえ、我々はもう一度教師に焦点を当てて教師を論じていきたい。
 第3回を迎える教育に関する環太平洋国際会議は学際的のテーマは、主催校である北海道教育大学の基本理念と本国際会議の学際性を関連づけたものである。北海道教育大学本学の基本理念に『「人が人を造る』」というのがある。これは、あらゆるところでいろいろな人と関わり合いを持つことによって、人は成長していくという基本概念からきている。この会議は「分野間交流」の場面、すなわち、国の違いだけではなく違う分野の人と人との関わり合いの場を提供するという観点において学際的である。本会議が、参加者が学際的視点から教育を論じ、グローバル社会における教育のあり方、教師のあり方についての理解を深める機会となることを期待する。
 実は,2006年に第1回目を北海道教育大学がホスト校の一つとして開催しており,現在の学長本間謙二先生が国際・交流協力センター長で私が国際交流部門長であった.この時は,北海道教育大学,Simon Fraser University,Illinois State Universityの3者が交代で教育に関する環太平洋国際会議を開くことにしていた.2008年には,Illinois State Universityが第2回目を開催した.2010年に第3回目を予定されたSimon Fraser Universityが自己都合によりこの会議からはずれることになり,急きょ,北海道教育大学が2011に開催予定をした.ところが,東北地方の大震災により1年延期して今回に至っている.
 会議に先立って開かれた幹事会では,韓国の釜山教育大,台湾師範大学,タイのブラパー大学が幹事校の仲間入りをして,覚書も作成した.来年は釜山教育大学で開催される.従って,来年から毎年開かれることになる.
 第一回目は,本学が国際会議を開いてもいいのだろうかと思うくらいの実情の中で開かれた.このHPのお世話をしてくれている三田資子さんとバンクーバーの鈴木里奈さんに,ただ同然で通訳してもらった.これには,ほんとに助かった.海外からの発表者も苦労して集めた.さて,あれから6年を経て本学は国際会議を開く大学になったのだろうか.今回は,「学校経営」の分科会以外は一切通訳をつけないことにした.出席者は大変だったろうと思う.発表者は48名,25大学から集まった.実際のところ,これ以上発表者がいると我々の能力を超えるのでちょうどよかった.海外からの発表者も10大学20名と第一回目のように懇願して出席してもらった人は誰もいないから,その点は評価できる.ただし,本学の出席者が非常に少なかった.大学院生・教職大学院生の参加も少なかった.そうした意味では,本学の国際化はまだまだという感じがしてしまった.きっと,全国の教員養成系の大学は,こんなものなのかもしれない.構内から一歩外に出れば,国際化なんて今や死語になりつつあるくらい当たり前の状態である.それが,大学構内に入った途端,国際化を叫ばなければならない状態だ.自分たちが,どのくらいでどんな形で国際化していくのかさえも大学は知らない.そういった意味では,第一回目に比べて,国際課が1年も前から非常に精力的に動いてくれて組織的に計画が実行されていったにも関わらず,本学の国際化には遠い道のりを覚悟しなければならない.しかし,確実に前進していることだけは確かだ.
 2年も前から準備してきた環太平洋国際会議も夢のように過ぎ去っていった.いろいろな人がかかわり準備してきた.国際課の野螻さんの仕事ぶりや段取りは目を見張るものがあった.国際課の安藤次長,佐々木課長,佐々木副課長と途中交代した仮谷副課長,名嘉さん,高橋君,江間君,小倉さん,三浦さん,大賀部門長,阿部主任センター員と個別に挙げていくときりがない.成功裡に終わったのは,ほんとに皆さんのおかげである.良かったことも悪かったこともあるが,終わってしまえばそれぞれの人が貴重なものを手にしたことと思う.

  


 


2012/9/6

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