「節電の冬」
 北海道は,夏よりも冬の方が電気を使うらしい.冬と同じようにわが大学にも節電の義務が課せられることになる.大学から発表された「節電対策」の冒頭には次のように書かれている.
【過度な節電により,健康被害が生じるおそれもあるので健康に十分配慮し,実行してください.】
 もっともらしく,みんなへの気遣いを忘れていません,ということを対外的に示すプロパギャンダにすぎない.その証拠に,教室は非常に寒い.ほとんどの学生が防寒具を着て授業を受けている.
私と言えば,板書をして体を動かしているはずなのに一向に体が温まらない.それくらい寒いのである.5講目のある日には4時半から暖房が止まっていた.現職の先生方に対する大学院の授業は6時から始まるのだ.どうやって授業をやれというのか.
大学には暖房の管理している部署がある.ここは,ただ,言われた通り節電の指示に従い暖房の管理をしているところである.「これでは寒いんではないですか?」などという意見の具申などは出てこない.
 大学では,「student-first」を合言葉に大学改革を行っている.そして,大学院の入学者数を増やそうと躍起になっている.ここが大学の不思議なところなのだが,こういう改革の話は,当該事務部門にしか通じてないのである.暖房の管理をしている人たちは,いったいどこを向いて仕事をしているのかということを問いたい,つまり,「student-first」なら,外套を着て震えながら授業を受けるような悲惨な状態に気が付くはずなのである.彼らは,学生の方等見ていない.いつも通り,予算に合わせて暖房が運転されるようにされることだけを考えて生きているのだ.こんなことが改革されない限り,大学の開学など夢また夢である.
 こういうと,責任者は必ずこう反応する.私は,
【過度な節電により,健康被害が生じるおそれもあるので健康に十分配慮し,実行してください.】
と連絡をしているので,それが徹底していく.ただただ,事務的で血の通っていない指示である.大学には,我々が一番大切にしないとならない学生がいるのである.大学生の存在や実態を無視して世間にどう思われるかばかり考えていては教育などできない.こういう教育をしてもいないのにこういう教育をしているというのは詐欺ではないか.ちなみに,研究室の温度計は20度以下である.

  


 


2012/12/4

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