・小学校外国語活動が始まって(1)

 平成23年度から小学校5年生と6年生を対象に年35時間で小学校外国語活動が始まります。 今年度21年と来年度は移行措置ということになっています。 先日、教育実習生の研究業を見て回ったり小学校の先生と話す機会があって気になることがあったので次に述べます。

【移行期間は暫定期間ではない】
 第一に気になったことは、移行措置に今年度は15時間、来年度は25時間としている学校が多いことです。 しかし、これは決して望ましいことではありません。 平成23年度からの35時間体制は正式に行うという意味であって、移行期間は、35時間体制で外国語活動を行った場合にどういった問題点が出るのかを点検する時期です。 ですから、移行期間に35時間体制を取らなければ、23年の完全実施の時に初めて35時間体制の施行をやるという矛盾が生じてしまいます。 小学校の現場にはいろいろな苦しい事情があるのでしょうが、22年度からでもいいですから35時間体制を行ってほしいものです。 35時間のカリキュラムを試行してみて、その結果、問題点を洗い出し、23年度の完全実施に踏み切るのが移行期間の役目です。

【小学校外国語活動の指導要領を読むこと】
 次に気になった点は、私のゼミの学生が小学校の実習での5年生の研究授業に外国語活動を行った際に、小学校外国語活動の基本的なことをつかんでいなかったことです。 私のゼミは英語学を中心に指導していますから、小学校外国語活動に触れることはありませんでした。 しかし、大学の「小学校英語」という必修科目の中で基礎的なことは学んでいると思っていましたし、 この学生は、昨年の中学校での実習で英語の研究授業はとてもよくできていましたので、今回も大丈夫だろうと思っていました。 ところが、授業が始まると、その授業時間に使いたい動物や果物のリストの日本語訳をやり始めたのです。 なぜそんなことをするのだろうと思っていたら、「Do you like 〜」という表現を学ばせるのにビンゴゲームをやりたかったのですが、 その際に、「Do you like 〜」の「〜」に入る単語の意味の確認をしたかったのです。 ところが、単語の一覧は文字ではなく絵で描かれていましたから、いくら小学校5年生でも日本語意味の確認は必要ありませんでしたし、 それは英語活動にならなくなってしまうのです。実習生の範読が始まりましたがそれも2回で終わってしまいました。 この時点で、私は、実習生が小学校外国活動のポイントを押さえないでやっていると感じました。
 指導要領には、小学校外国語活動のポイントは、 「外国語を通じて、言語や文化について体験的に理解を深め、積極的にコミュニケーションを図ろうとする態度の育成を図り、 外国語の音声や基本的な表現に慣れ親しませながら、コミュニケーション能力の素地を養う。」 と書かれています。 つまり、研究授業の始まりの段階で音読を2回で終わってしまったのは、 「外国語の音声や基本的な表現に慣れ親しませながら、コミュニケーション能力の素地を養う」というポイントをとらえていないことになります。 音読は繰り返して行うことが大切になってきます。ただし、「繰り返す」作業ばかりでは、子どもがすぐに飽きてしまいます。 そこで登場するのが、チャンツや歌やゲームなのです。 ところが、実習生の中には、チャンツや歌やゲームをすることが小学校外国語活動だと思い込んでいる人たちが意外に多いのです。 チャンツや歌やゲームは、繰り返して覚える作業を何とか子供たちに飽きさせないで練習させる手段なのです。

【繰り返し聞いて繰り返し言って覚えることも活動の一つである】
 小学校の外国語活動は英語に親しむ楽しい時間でなければなりません。 前述の栗菓子になりますが、これは「英語でコミュニケーションすることで楽しい時間になる」という意味であって、 ゲームや歌で子供たちを楽しませることだと誤解してはいけません。 『英語ノート指導ハンドブック』には、英語ノートの6つの特徴の中の一つとして「聞く、まねて繰り返し言う、覚える、発話する活動、アルファベット文字の視写。」とあります。 「覚える活動」もきちんと入っています。もちろん、覚える活動ばかりであってはならないし、子どもたちが覚えたかどうかテストするなどということがあってもなりません。 なぜ「覚える活動」が入っているかというと、児童が「積極的にコミュニケーションを図ろうとする態度の育成を図ろう」とするためには「英語表現を覚えて使うという必要性」があるからです。子どもの生き生きとした活動を引き出すために、ゲームや歌をすることが活動の目的になってはいけないということです。 決して、ゲームや歌を歌う活動が悪いと言っているのではなく、それらは外国語活動の目的ではなく手段であるという意味です。 コミュニケーション活動をするためには、初期段階では、英語を覚える作業も入ってこなければなりません。 したがって、次の活動が必要になってきます。
 ○ 繰り返し繰り返し繰り返し聞く活動→覚える。
 ○ 繰り返し繰り返し繰り返し言う。 →覚える。
ところが、繰り返し聞く練習や繰り返し言う練習ばかりでは、子どもたちに飽きられます。 そこで登場するのが、歌やゲームで子どもたちが飽きてくるのを防いだり、チャンツでリズムよく覚えていったりする工夫が必要になってくるのです。


▲ページTOPへ