・小学校外国語活動ためのカリキュラム その4

3.小学校外国語活動のための教材


子どもたちは学習することに,受身であってはなりません.子どもたちが積極的に参加できる授業を構成しましょう.しかし,子どもたちが積極的に参加するということは,必ずしも表面的な活発さや元気さを意味してはいません.つまり,子どもたちが発見することや,何を考えているのかを,何を感じているのかを,何をすることができるかを明らかする授業や明らかにできる授業を構成しましょう.たとえば,英語を使う喜びを知るのは何も英語で話すことだけではありません.自分が学んだ英語表現をどこかで見つけたり聞いたりする作業も英語を使う喜びに直接結びつくことなのです.教室で学んだことが実際に使われているのを読んだり聞いたり見つけたりすることは,習った表現に過ぎない無機的な状態が子どもたちの中で活性化し有機的な状態として子どもたちの中に長い記憶として残るきっかけになります.そのためには,教師が子どもたちの学んだ表現が出てくる読み物をあらかじめ用意することも効果を生み出す方法です.これは学年を追って考えていく必要があります.


小学5・6年生:
教師が子どもたちの学んだ表現を含む文章を意図的に用意する.ALTなどに頼んで作ってもらう方法も考えられます.

中学1年生:
教師が子どもたちの学んだ表現が出てくる読み物を用意する.見つからない場合には,ALTなどに頼んで作ってもらう方法も考えられます.

中学2・3年生:
子どもたちの学んだ表現が出てくる読み物を子どもたちの力で探す.なかなか難しいので,インターネットなどを利用させたり,教師があらかじめ探しておくことが必要です.


 ここで大切なことは,表現と同時にそこに書かれていることから子どもたちは何を発見し,何を感じ,何を考えたかということも重要な学習活動です.それが英語文そのものであったり,英語文が使われている場面や背景であったり,英語が使われている国であったり多種多様でかまいません.子どもたち一人ひとりが発見したり感じたり考えたりすることは違っていてもかまいません.異文化の発見であったり,異文化に興味を持ったり,自分たちの生活との違うところや同じところをみつけるだけでも子どもたちの成長につながります.結果として,英語を学ぶことによって子どもたちが興味関心を自分の力で見つけて学んでいく力をつけていくとともに,英語を学ぶ喜びを実感することになっていくのです.


最後に,子どもたちが見つけ出したことや達成したことの重要性を子どもたちが認識できるようにしましょう.そうすることによって,子どもたちが次の学習内容に対して意欲を見せることができれば,この外国語活動は成功したことになります.




3.1 英語を使う喜びを知る −日常生活と学習結果との関連付け−


日常生活や子どもたちの活動に,子ども達が学習したことや達成したことを関連させることができるように授業を構成しましょう.学年を追うに従って「私→家族→友達→学級行事→学校行事→社会→異文化」のように「自分= I」から外に向かって世界をどんどん広げていく教材を用意すればいいのです.ここでは,5年生から英語学習を始めることを想定して話を進めていきます.


○小学5年生:教室の中だけでできる活動:
A: What subjects do you like? 
B: I like music (Japanese, social studies, math, science/ home eco, P.E., English, …)


○小学6年生:絵などを使って,買い物の場面などを提示して使用する場面を広げる.対話ができるだけ少なく完結するように工夫する.
A: What are you going to do next weekend?
B: I am going to the department store with my father and mother.
A: That’s great.


○中学1年生〜2年生:絵などを使って,買い物の場面などを提示して使用する場面を広げる.対話が続いた形にする.
Ai: I went to Daimaru department store last Sunday.
Nami: Who did you go there with?
Ai : I went there with my mother.
Nami: What did you buy?
Ai: My mother bought me a new coat.
Nami: That’s great.
Ai: Anyway, what are you going to do next Sunday?
Nami: I am going to go to Chitose International Airport to meet my father. He is in Canada now.


中学3年生:
(1)海外での日常生活の写真を見て日本との違い同じところや似ているものをいろいろと調べる.
(2)調べた内容を発表しあう.
(3)全員がある写真の内容を共通理解した上で英語で発表する.


 子どもたちが事前に持っている共有している経験や知識を授業に生かす方法は,学習者の段階を追っても設定の仕方が変わってきます.小学校5年生であれば,子どもたちにきわめて身近な経験や知識が有効になってきますし,中学3年では学習した高度の知識すらも事前に共有している知識になってきます.たとえば,小学5・6年生では上の例のように「買い物」の話題を提示するだけにします.中学1・2年生では,買い物についての対話を繰り広げます.中学3年生では,インターネットで事前に調べて共通理解していたことを英語を使って表現しようとします.たとえば,アメリカのスーパーマーケットの写真を見たり,ビデオを見たりする活動を行います.もし,子どもたちがかつて授業で習った事前の知識があればそれを引き出したりする活動も異文化の理解を深めます.ただし,この学習で無理に英語での会話を繰り広げる必要はありません.ビデオやインターネットの中で英語が使われていればそのすべてを把握しなくても子どもたちが学習できる部分を見つけて手助けをしてやってください.


 初めに,写真,ビデオ,インターネットによって子どもたちの興味.関心が何であるかを見つけ出します.たとえば,その中での登場人物は誰であるかを知る必要があります.それは,登場人物の役割・年齢・性別・社会階層・宗教・民族性および居住場所であるような点が上げられます.また,その写真が何であるのかをはっきりさせることです.たとえば,次の写真はカナダのバンクーバー市で見られるゴミ収集車です.日本のゴミ収集車は何人かの人が降りてきて,収集者の中にごみを入れますが,このゴミ収集車は直接ゴミ箱を持ち上げてゴミを収集の中に入れます.


T: Do you know what this picture is?


T:This is a garbage collection truck of Canada. In Japan, people get off a garbage collection truck and they put garbage into the truck. But, this garbage collection truck lifts a garbage container, and puts the garbage into the car.



こんなことも日常生活の中から異なった生活のシステムを見つけ出すきっかけになります.次に,それは何?そしてそれはどこにあるの?という質問をするかもしれませんが,このことも学年を追うにしたがって変わってきます.中学3年生にふさわしい課題を探して出してやります.
もうひとつ中学3年生用の具体的な例を説明します.たとえば,中学3年生に「自由の女神」の写真を見せながら次の会話をし,さらに調査という方向に話を持っていく方法が取れます.



T: Please look at this picture?
What is this picture? You can say it in Japanese.
S: 自由の女神
T: Yes, that’s right. It is called the Statue of Liberty in English. Please say “the Statue of Liberty” all together.
S: the Statue of Liberty
T: Do you know where the Statue of Liberty is?
S: America.
T. Yes, it is in the United States.
T: Where is the Statue of Liberty in the United States?
S: In New York.
T: That’s right. It is in New York City.
T: OK. Let’s learn about New York City. It is homework.



 生徒がどのように写真の中で描写されることについてもっと知識を得られるか尋ねてください.そして,それにしたがって調べるように指示するのです.ここでは,自由の女神がニューヨーク市にあることを知り,子どもたちがニューヨーク市について調べてくる活動に発展していくことになります.ここまでが,上述の(1)の作業です.(2)は十分に時間をかけてください.(3)は,what, when, where, why, how, which, whoなどの疑問文を教師が発してやることです.そうした中で,たどたどしくても生徒は英語を使う喜びが得られます.この喜びが次の学習意欲へと発展していきます.ALTとこんなところでTTを組むのも効果的な方法です.





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